仮渡金制度(自賠法17条)
① 賠償額の確定までに時間がかかるような場合、被害者は「治療費」や「葬儀費」など当面の出費にあてるため、加害者の加入している保険会社に保険金の前払いを請求することができます。
② 仮渡金の請求は「被害者請求」によって行います(被害者のみが請求可能)。
③ この仮渡制度は自賠法17条に規定されており、被害者が加害者の契約し ている自賠責の損害保険会社に仮渡金を請求できます。
④ 自賠法16条1項は、保険会社に対する被害者の損害賠償額の請求権を定 め、この請求権の支払のため同法17条は仮渡金の請求権を定めている。
⑤ この請求書は自賠責保険会社に請求すれば人手できる。
⑥ 仮渡し金請求をするには、傷害の程度が11日以上の治療を要することと いった、傷害の程度による条件が有る。
⑦ 手続きはとても簡単で、自賠責に該当する傷害と解っていれば、医師の診断書により保険会社ですぐに支払ってくれるはず。
⑧ 仮渡し金を貰った後に、被害者の損害の請求総額より、仮渡し金の方が高 額になっていれば、保険会社に差額分を返還することになる。
⑨ 加害者が任意保険に加入しているときは、任意保険会社は一括払い制度に より自賠責保険金を立て替えて支払いするので、この仮渡制度は次に述べる 内払い制度による支払に吸収されてしまう。
⑩ 仮渡金額は定額で、被害者から提出された医師の診断書をもとに自賠責保保険会社が判断するもので、次のようになっている。
※ 本請求や内払金の支払がおよそ1~2か月かかる場合があるのと比べ、仮渡金は必要書類が揃えば1週間程度(加害者に連絡が取れない場合は、若干時間がかかる場合がある)で支払われる。
※ 当座の費用で困っている場合には仮渡金制度の利用が有効である。
⑬ 仮渡金は、最終的に支払われる賠償金等より差し引かれます。
⑭ 相手(加害者側)の保険会社が、一括払対応(自賠責保険が支払う分を含めて任意保険会社が一括して被害者側に支払うこと)をしている場合、相手自賠責保険に「現存確認」を行っており、直接被害者請求しても相手損保の承諾後でないと支払われません。
※ 任意保険は自賠責保険の不足分を補填します。
保険金を支払う任意保険の会社は、自賠責保険も含めた賠償金を仮払いした後に、自賠責保険より、任意保険会社が立て替えて支払った賠償金の内、自賠責より回収できる分を回収する事になります。
そのため、窓口になった任意保険会社は、自賠責保険を契約した会社に自賠責保険の契約がある事を確認(現存確認)します。
⑮ 仮渡金請求に必要な書類(自賠令6)
1. 仮渡金支払請求書
2. 交通事故証明書
3. 事故発生状況報告書
4. 医師の診断書または死体検案書(死亡診断書)
5. 印鑑証明書
6. 委任状および委任者の印鑑証明書
7. 戸籍謄本
※ 委任状は被害者本人以外の人が請求する時、戸籍謄本は死亡事故の場合にのみ必要になります。
内払金の請求(自賠法等法律に規程ありません)
(1)自賠責保険の内払金請求
① 自賠責保険への請求は、被害者の最終的な損害額が確定してから行われる のが原則ですが、傷害事故で被害者の治療が長引いているために、損害額の全額が決定せず、示談をすることができないような場合において、自賠責保険会社が保険金を内払いとして先に支払ってくれるという制度です。
② 内払制度は、こうした場合に備えて、被害者保護の見地から、いわば治療費を立て替えてくれるという制度で、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の法律(自動車損害賠償保障法)上の制度ではなく、実務上認められていたものです。
③ 傷害事故を起こして被害者の治療が継続している為に、損害額が確定しない場合においても、損害調査の結果、加害者に賠償責任があると認められ、既に発生した損害が、10万円以上あることが確認された場合に、仮に保険 金が支払われる制度で、加害者・被害者のいずれからも、自賠責保険会社に 内払金の請求ができる(但、2008年10月以降、本請求として請求が可能となり、10万円以上という制限が廃止された)。
④ 既に支払済みの内払い金や仮渡金などがある場合は、最終的にその金額が差し引かれます。
⑤ 傷害限度額の120万円を超える事はできません。
⑥ 加害者が、損害額の支払いを行わないだけでなく、この自賠責保険内払い 制度の請求もしなかった場合には、被害者側からも内払い請求ができます。
⑦ 自賠責保険内払い制度は、傷害事故限定であり、死亡事故や傷害による後 遺障害等には利用でません。
⑧ この制度は、内払い金額について、損害賠償責任および発生した損害額が 明確になっている点で、仮渡金制度と大きく異なる。
⑨ 内払金請求(内払制度)は、2008年(平成20年)10月1日より廃 止され、本請求と統一されましたので、従来の内払金請求は本請求として受け付けられることとなりました。
⑩ 限度額に達するまで何度でも請求することができます。