過失割合とは
交通事故で問題となりやすい
「どっちがどれほど悪いのか?」
を割合で表したもののことをいいます。
つまり、交通事故の責任がどちらにどのくらいあるのか?
ということで、これを「過失割合・かしつわりあい」と言います。
当該交通事故において、
- その責任は双方のどちらにあるのか?
- 一方だけが全て悪いのか?
- 双方に当該交通事故に何らかの責任があるのか?
など、当該交通事故が起こった原因を検討して、その交通事故における責任の割合を判断することが事故の解決に必要不可欠です。
- 過失割合には過去の裁判例をもとにしたおおよその基本ライン(通常の場合には、別冊判例タイムズ16「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂四版」が基本と考えられています)があり、損害保険会社が補償金の示談交渉をする場合も、その基本ラインをもとにして過失割合を決めています
- 相手方に賠償される保険金は、自分の過失割合分のみとなりますので、この過失割合はとても重要です。
過失相殺とは
過失相殺とは、上記過失割合が双方合意できた場合において、それぞれの損害額からそれぞれの過失割合を除した金額を支払えば、その余の金員はお互いの過失割合に応じて相殺されるため、支払う必要が無くなるということです。
例えば、
Aさんが、Bさんに100万円を貸していたところ、AさんがBさんの車を100万円で買うことになった場合を考えてみると、AさんはBさん100万円の貸し金返還請求権を持っていますが、逆にBさんはAさん対して100万円の売買代金請求権をもっています。
この場合、本来なら
「現実にBさんからAさんへ100万円を貸金の弁済として渡して・・その後AさんからBさんへ100万円を車の売買代金として支払う」
若しくは、逆に
「現実にAさんからBさんへ100万円の売買代金を支払って・・その後BさんからAさんへ100万円の貸し金を弁済する」
ということを行うのですが、よくよく考えてみれば、そんなことをしなくても・・・AさんはBさんに・・・BさんはAさんに・・それぞれが持っている100万円の請求権を同額で打ち消し合うことができれば、上記の手間がはぶけます。
また、そうすることで、「BさんはAさんに対する100万円の貸し金返還義務を免れ」、並びに、「AさんはBさんに対する売買代金支払い義務を免れる」ことができます・・・これを「相殺」といいます。
交通事故の場合には、被害者、加害者双方に、何らかの過失がある場合には、被った損害を請求する場合に、自分の過失割合に応じて自分が被った損害を相殺することとなり、
これを過失相殺と言います。
自賠責保険における過失相殺の注意点
自賠責保険の場合、被害者の救済という目的から、原則として過失割合は問わない(除く重過失)こととされています。
- ※ 被害者の過失割合が7割未満であれば、保険金の満額が支払われる。
- ※ 傷害による損害額(後遺障害及び死亡に至る場合を除く。)が20万円未満の場合はその額とし、過失相殺による減額により20万円未満になる場合には20万円となります。
- ※ 被害者に全過失がある場合には保険金の給付はありません。
過失相殺の具体例
傷害事故の場合の保険金計算例 |
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上記の場合、
(被害者の損害額×契約者の過失割合)-自賠責保険による補償額 = 対人賠償責任保険金の額 = 300×0.6-120=60